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角膜障害

角膜は眼球の正面に見える「黒目」を覆う透明な膜で、実は手足の爪と同じくらいの硬さがあります。虹彩と水晶體を保護し、光學レンズとしての働きもあります。角膜の構造は、表面から上皮、実質、內皮に分かれます。「上皮」は外気にさらされており、角膜を外界から守るバリアとしての働きと、酸素を取り入れる働きを持ちます。「実質」はいちばん厚い層ですが透明で、光をそのまま通すことができます。「內皮」は眼球內の房水(ぼうすい)という栄養分に富んだ水を実質部分に送り屆けるとともに、余分な水を排出する作用があります。

角膜はゴミなどによる刺激や、微生物による感染を受けることもありますが、まぶたは、これらを防ぐ役目をしています。病気や外傷で角膜の透明性が失われたり、変形したりすると視覚に障害が出てしまいます。角膜の病気や損傷は、強い痛みを伴います。

どんな病気?

角膜障害は、起こる部位やその原因によっていくつかの種類に分けられます。ここでは部位別に自覚癥狀とともに説明します。

角膜障害

1.角膜上皮障害(かくまく じょうひ しょうがい)
角膜上皮炎、角膜びらん等があげられます。軽度な場合でも羞明(まぶしさ)、流涙(涙がとまらないこと)や異物感(ゴロゴロ感)があり(點狀表層角膜癥)、ひどくなると目の痛み、白目の充血、目やにが出たり、角膜の一部が白く濁ったりします。また、進行とともに実質、內皮にまで障害が及ぶ場合があります。 (角膜潰瘍、角膜穿孔等)

2.角膜內皮障害(かくまく ないひ しょうがい)
角膜內皮炎、水皰性(すいほうせい)角膜癥があります。角膜內皮炎はヘルペスなどのウイルスが関與しているといわれています。水皰性角膜癥は、手術や外傷、內皮炎、酸素の透過が悪いコンタクトレンズの長期使用などによって発癥します。水皰性角膜癥では視力の低下、痛みをともない、重癥な場合には角膜內皮移植や角膜(全層)移植が必要となります。

病気の原因は?

先天性

生まれつきのものや自己免疫異常が関與している場合があります(円錐角膜、角膜ジストロフィなど)。

後天性

1.外傷性
強くこすってしまったり、打撲やとがった物で突いたことによる角膜上皮?內皮障害、角膜穿孔があります。また、目の中に油がはねて入ったり、化學薬品や界面活性剤が入った場合にも、上皮障害等を引き起こします。

2.感染性
細菌?真菌?ウイルスなどの感染によるもので、角膜の表面についた小さな傷から感染する場合が多くあります。

3.コンタクトレンズ
コンタクトレンズの不適切な使用による角膜上皮障害や、間違ったコンタクトレンズケアによる感染性が原因となる場合があります。また、長期使用による角膜の酸素不足のために引き起こされる內皮障害があります。

4.薬剤性
目薬を長期間使用することによる角膜上皮障害があります。主な原因として點眼薬中の防腐剤などがあげられます。

ふだん気をつけることは?

角膜の外傷は、作業やスポーツをするときに、ゴーグルなどで適切に目を保護することで、かなり避けることができます。
角膜感染癥の多くは、角膜上皮にできた傷から起こります。目に入ったゴミ、逆さまつげ、強い紫外線による刺激などが原因となって小さな傷ができ、そこから細菌、真菌やウイルスが侵入して増殖し、感染癥を引き起こすのです。
最近は、コンタクトレンズの不適切な使用が、角膜感染癥の主な原因となっています。コンタクトレンズを正しく使わないと、角膜に傷をつけたり、微生物の溫床となって、さまざまな目の病気やトラブルを引き起こします。寢る時は必ずコンタクトレンズを外すなど、決められた通りに使用しましょう。

また雑菌が付かないよう、コンタクトレンズは常に清潔な狀態に維持する必要があります。ご自身のコンタクトレンズに合ったケア用品で毎日きちんと汚れを落としましょう。とくにマルチパーパスソリューションタイプを使用している場合には、しっかりと“こすり洗い”をしないと細菌や汚れは落ちません。

治療方法は?

角膜の外傷は、癥狀は軽くても眼球の內部に異常があることも多いため、見た目で判斷することなく、眼科醫を受診しましょう。角膜感染癥の軽傷の場合は、適切な治療を続ければ1カ月程度で治る場合もありますが、重癥になると失明することがありますので、眼科醫での経過観察が必要です。角膜の病気は、目の病気の中でも比較的緊急性の高い病気です。強い充血や目の痛み、大量の目やになどの癥狀があり、角膜感染癥が疑われる場合には早めに眼科を受診することが大切です。

治療法は、目薬だけの場合から、內服薬、點滴注射や手術による角膜移植まで幅広くあります。角膜感染癥は、まず、抗菌作用をもつ目薬や軟膏の処方が中心になります。コンタクトレンズは手軽なだけに、それが原因で起こる目の病気も軽く見られがちですが、コンタクトレンズによる角膜感染癥で視力障害が起きたり、角膜內皮障害まで及ぶと角膜移植手術が必要になる場合もありますので、適切な使用やケアを心がけてください。

 

監修 : 東京醫科歯科大學 名譽教授   所 敬 先生

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